過去数年間にわたり、多くの紛争でDDoS攻撃の利用が確認されています。ロシア・ウクライナ間の戦争では、政府のサイバー機関と個人のハッカー集団の両方によってDDoS攻撃が使用され、情報伝達の妨害や、プロパガンダ促進を目的としたサイトの改ざんが行われました。

現在、イスラエルで発生している危機も例外ではありません。10月7日以降、イスラエルのサイトに対するDDoS攻撃は平均でほぼ10倍に増加しています。Impervaで保護されたサイトが標的となった件数は、主に政府機関や金融部門で1日あたり54%増加しました。こられすべての攻撃は、ImpervaのDDoS保護によって軽減されています。

Chart that shows the volume of DDoS attacks by day during Israel conflict

最近では、10月7日に大規模な攻撃が発生しています。この攻撃はイスラエル政府のサイトを標的とし、100万RPSを超えるものでした。また、この攻撃が13,000のIPアドレスから行われたことも確認されています。

すでに、多くのハッカー集団がイスラエルのサイトを標的にすると宣言しています。親ロシア派のハッカー集団Killnetは、10月8日、イスラエルがウクライナとNATOを支援していると非難しイスラエル政府のシステムにDDoS攻撃を仕掛けると表明しています。同じく親ロシア派のハッカー集団であるAnonymous Sudanは、パレスチナ支持を宣言し、10月9日、イスラエルのニュースサイトを攻撃したと主張しました。さらに、ハッカー集団AnonGhostは、ミサイル警報アプリを侵害し、ヘイトシンボルを添えた偽のミサイル警報を送信したと述べています。10月7日以来、イスラエルのサイトを標的とするロシアのIPアドレスは1800%と顕著に増加しており、ハッカー集団の主張を裏付けています。

イランのハッカー集団は一般的に、イスラエルへ攻撃を仕掛けるとされている通り、イランはハマスへの支援を表明しています。しかし、戦争が始まって以来、イランのハッカー集団がイスラエルへの攻撃を主張した例はありません。ただし、10月7日以降、イスラエルのサイトに対するイランのIPアドレスが急増しています。

A graph showing DDoS Attacks from Iranian IPs on Israeli sites

イスラエル紛争の最中でDDoS攻撃が急増している状態は、物理的な戦場をデジタルが後押しするという、現代における戦争の在り方を表しています。国営・個人を問わずさまざまな勢力に忠誠を誓う数々のハッカー集団が現れたことで、デジタル領域はプロパガンダ、混乱、心理戦の場となりました。各国がこうしたサイバー脅威に対処する中、サイバー犯罪へ対策する必要性が改めて高まっています。